子供たちの姿を描くドキュメンタリー映画「映画をつくろう」監督:池田千尋

日々を当たり前に暮らす自分たちのまちを見たとき、子供たちの心には何が映るのだろう。袋井市に集まった子供たちに与えられた課題は「袋井市をPRする映画をつくること」。映画を作る中で、子供たちは悩み、挑戦し、何を得るのか――・・・。彼らの貴重な映画体験を通じて、いま、袋井市が動き出す!

池田千尋

1980年北海道生まれ、静岡県袋井市出身。
県立磐田南高校在学時から自主映画制作を始める。
早稲田大学第一文学部卒業。 映画美学校修了制作作品である『人コロシ穴』(2002)は、'03 年カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門に正式出品される。幾つかの現場で助監督を経験した後、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域に入学。‘07年修了後、2008年に西島秀俊、加瀬亮主演『東南角部屋二階の女』で劇場用長編映画の監督としてデビュー。その後も幾つかの短編映画や携帯動画の監督、ワークショップの講師など幅を広げながら精力的に活動を続けている。
2015年には自身初となる人気コミックスの実写化を手がけた『先輩と彼女』が大ヒットとなった。

子どもたちに向かう気持ちはいつもと同じ、でも、いつもとは違うことばかりの混沌とした初日。子どもたちの人数は倍、ボランティアスタッフの人数も倍以上。なんとか無事に初日撮影を終えたと思ったら、子どもたちのチーム作りで問題発生。一緒に参加した友達同士が同じチームにならないよう分けたことで、不安の声があがったり、ショックで泣いてしまったり。それぞれの子たちの話を聞いて、結論は彼らに任せる。映画をつくりたいという意志がそこにどれだけあるか、それでしかないんだと話しながら思う。明日も来てほしいという期待とともに、”やめる”という選択も受け入れようと決めた。

結論が出た。やめることを選択した子が何人かいたが、来ることを決めた子は朝一番に笑顔を見せてくれた。素直にうれしい。だって、やらないよりも、やってみた方がいい。やってみなきゃ、なにも生まれないから。そう改めて思う。そして、ここからがはじまり。この日は『映画のタネ』の持ち主から子どもたちにタネを預けてもらう。いつもならワークショップの二日目にはチームのまとまりが出てくるのだが、今回は人数が多いからかなかなかチームがまとまらない。大半がバラバラのままでこの日は終る。チームがまとまるために、何ができるかと考える。考えてはみるけれど、なにもしないで待つことも大事だったりする、とも思う。いつも迷う、この選択。

Aグループ、取材日。『映画をつくろう』史上初めて、チームごとに車で施設の外に出て行く。はじめての挑戦。子どもたちも大人たちも、わたしも、みんなドキドキ。“はじめて”に挑むのは簡単なことじゃない。でも、これほど大きな成長のチャンスはないと思う。ただ安全に安心に何も起こらないようにしているだけじゃ、わたしたちは成長できない。難しいことほど、苦しいことほど、人を成長させる。そんな大きな旅から帰ってきたチームのみんなは、グッとまとまって、チームらしくなっていた。子どもたちの顔が生き生きしてくるのがうれしい。来週の撮影に向けて最後の最後でエンジンがかかる子たちを見て、「おそいよ!」といつものようにツッコミを入れながら、大丈夫だ、とやっと思えた。

Bグループ、取材日。昨日と同じことを、別のグループの子たちがするだけ――、なんてそんな単純じゃないもので。子どもが変わると、チームが変わる、チームが変わると、起こることも、挑戦すべきことも変わる。Bグループには『映画につくろう』に何度も参加してきたリピーターが多い。これまで四年間やってきたことと、今回は全然やり方が違う。いつもより難しい。いつもより、ハードルが高い。はじめての子たちよりも、リピーターの子たちの戸惑いの方が時に大きかったりする。さあ、みんな、今回は甘くしないよ、このハードル、どう乗り越えるの、ってみんなに言いながら、実は一番高いハードルを乗り越えなきゃならないのは、わたし自身だったりする。今、まさに、ハードルが目の前。

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